仮想メンター

先週のべこさんのポエムに触発されてAmazon PrimeビデオでSHIROBAKOをまた観ている。SHIROBAKOはアニメ制作会社で働く人たちのアニメ。良いシーンがたくさんあって、特に安原さん・井口さん・小笠原さんのでてくる7・8・16話が好きだ。

安原さんは真面目で丁寧な絵を描く。でも制作会社のギリギリのスケジュールのなかで速く上手く描くことを求められ、速く描いたら作画監督からは「こんな手の抜き方は良くない」とダメ出しされ、どうすればいいのかこの業界でやっていけるのかと自分を見失ってしまう。そんな安原さんに対して、先輩の井口さんはおすすめの散歩スポットに連れ出して、気分転換のコツや上手い描き方を見て真似ぶ(学ぶ)方法を教える。

井口さんは器用に生きる人だなぁと思っていたら、一方で井口さんも、16話でキャラクターデザインを任されたときは何度描いても原作者からOKがもらえず行き詰まってしまう。(これは具体的にどこを直してほしいか伝えない原作者と全く仕事しない担当編集者も悪い。)先輩の小笠原さんは井口さんを気分転換に誘い、自分が過去に同じ経験をして乗り越えたエピソードを話し、監督やプロデューサーには井口さんへのサポートが足りないと指摘する。

これらの話から得られる教訓は3つあると思う。(1)何事も次のステップに挑戦するときには困難をともなうものだから、無理に悩んだり自分を見失ってはいけない。(2)困難のレベルが上がるのにあわせて、自分自身のメンテナンス方法も改良していくべきである。(3)相談に乗ってくれる、あるいは過去に同じ経験を乗り越えたメンターを見つけるのが大事である。

最近の自分はあまり仕事が順調とはいえなくて、3つとも守れていない気がする。特に(2)については、日本にいたときと違って、美味しいものを食べる・お風呂に浸かる・友達と話すなどの方法がとれないのがつらい。ドイツにいてもできること、例えばジョギングなどでストレスを解消したい[1]。(3)についても今の環境ではまだ見つけられずにいる。「SOFT SKILLS」にはメンターが見つからないときは専門書・技術書を読んで頭のなかに仮想の人物を作り出せとマッチョなことが書いてあったので、最近は本を読んだりフィクションの人物を観察したりして新しいことを学びとろうとしている。


  1. 学生の頃は体を動かすことが大嫌いだった自分が毎日走るようになったのは感慨深いものがある ↩︎