ドイツで振り込め詐欺に遭いかけた (ユーロポール職員を名乗る不審電話に注意)

TL;DR

【安全情報】ユーロポール職員等を騙る不審電話について - 在ドイツ日本国大使館

ユーロポール職員や警察官を名乗って、氏名、IDカード番号、口座番号等を聞き出そうとしたり、例えば、「あなたの口座がマネーロンダリングに使われた疑いがあるので、口座が凍結される前に現金を他の口座に移しておく必要がある。」と言って現金を振り込むよう誘導したり、あるいは、自動音声(英語)のメッセージが流れて、プッシュボタン形式で応答を求めるケースもあるとのことです。これらは、詐欺電話である可能性が高いとして、ユーロポールや警察では注意を呼び掛けています。

何が起こったか

9月5日 11:32

仕事中、携帯電話あてに電話がかかってきた。それは英語の自動音声で、「こちらはドイツ連邦〜〜オフィス (聞き取れなかった) である。あなたが関わっている犯罪についての事情聴取を行いたい。応じるなら1を押すように」という内容だった。身に覚えはないけれど無視すると問題が起きそうだと思って1を押すと、オペレーターにつながった。その人曰く、マネーロンダリングの捜査で私の銀行口座が見つかり、調べを進めた結果、私名義の銀行口座がドイツ中に多数作られて薬物取引やマネーロンダリングに使用されていることが分かった、ということだった。

この時点で詐欺だと気付くべきだったのだが、偶然3日前に4,000ユーロの国際送金をしていたので、もしかしたらそれを契機に見つけてくれたのではないかと思って信じてしまった。オペレーターとの会話の中で、直近の送金がマネーロンダリングではないこと、違法な取引のための銀行口座を作る動機も手段もないことを説明した。その結果、違法な銀行口座はどこからか流出した私の個人情報から作成されたものであることが認められ、それらを凍結する手続きに進むと知らされた。私の滞在許可証やそれを使って不正に契約されたと思われる車や住居契約についても失効させるという。ここまでは「それは大変だ!対応お願いします!」という気持ちだった。

銀行口座を凍結するにあたり、現在の銀行の所持金をfederal secure bank accountに移す必要があるとのこと。私の銀行口座は一つしかないと説明したのでそれ以外を凍結するという措置はないんだろうか。このあたりで「詐欺では...?」という疑惑がでてきた。また、最近パスポートナンバーをフライトやホテルやコロナテストで使わなかったか?そこから流出した可能性がある、と言われたのだが、普段からよく使っているしそれだけで不正使用されるものかなと疑った。

質問はあるかと聞かれたので、念の為いま起こっていることをメールでも送ってほしいと伝えた。すると、これは極めて重要な機密事項であり、こういった問題が起きている以上あなたのインターネットが何者かに盗聴されている可能性があるのでメールはできないという回答が返ってきた。メールを送ってもらえれば送信元からある程度は信頼度が分かりそうなのにと思った。

これは相談せずに進めるとヤバいやつだと思ったので、適当な理由をつけて、続きは明日からお願いしたいと告げた。オペレーターは私に明日まで延期する権利はないと言うので、今は仕事中なので銀行にもいけないと伝えて、今日の16時 (4時間後) にかけ直してもらうことで了承してもらった。電話を切る間際にこれは機密事項なので家族や友人には決して喋ってはいけないと念を押されて、その時点で詐欺だと確信した。

16時までにすることとして、知人に相談して意見をもらうこと本当に私の名前が犯罪に使われているかを別窓口で確認する方法を探すことを考えた。まずは警察に相談するべきなのだけれど、ドイツ語ができないこともあり、何と説明すれば・どう頼ればいいか分からない。大使館や総領事館に相談するのが良さそうだと思った。同様の事件が起きているかもしれないし、私が疑いをかけられている犯罪についてもしかしたら調査してくれるかもしれない。

14:30

大使館に電話をかけて事情を説明したところ、総領事館の管轄なのでそちらに相談してほしいと言われた。総領事館には昼の開館時間から電話をかけ続けているがつながらない。

電話がつながるまでの間に他の窓口はないかとさがしていて、【安全情報】ユーロポール職員等を騙る不審電話についてのページが見つかった。聞き取れなかった発信者はユーロポール職員あるいはドイツ警察と名乗っていたような気もするし、手口が全く同じだった。この注意喚起が見つかったことで安心して、電話はつながらないけどもう良いかなという気持ちになった。

15:10

総領事館に電話がつながった。総領事館としてはできることがないので警察に相談してほしいとのこと。万が一詐欺ではない場合に備えて私の名前が犯罪に使われているか調査してほしいと伝えたけど、その権限はないと言われた。総領事館とは、電話を待っている間に大使館の注意喚起が見つかったので大丈夫です、念のため報告しておきます、というやりとりで電話が終わった。

16時に振り込み指示の電話がかかってくる予定なんだけどどうするのが良いんだろう。興味本位で続きを聞いてみたさもあるけど、相手の感情を逆なでして別の事件に巻き込まれても困るので、電話を取らないことにした。

16:00

少し待ったけれど電話はかかってこなかった。勘付かれたと思われたか、無作為に電話しているらしいので割に合わないと思って次のターゲットに移ったか、ひとまずこの件はこれで終わり。

反省点

federal secure bank accountへの振り込みの話がでるまでは信じていたので、身の潔白を証明するために氏名、年齢、郵便番号、パスポートナンバー、滞在許可証のナンバー、居住歴、銀行の名前などを詳細に話してしまった。口座番号や暗証番号までは話していないので直接の被害が出るとは思えないけれど不安は残る。よく考えると、相手は私の名前を知っているはずなのに名前をスペルまで電話口で伝えさせるのはおかしい。この行動で今後の詐欺対象候補リストに登録されてしまった可能性がある。